研究報告

下唇への広範囲温度提示による飲料の食味認知変化の調査

Abstract

我々は,下唇周辺への温度提示によって飲料自体を変化させずに食味認知に影響を与える,ThermoTumblerを提案し,検討を進めている.ThermoTumblerでは,下唇周辺への温度提示を実現するために,ペルチェ素子やヒートパイプ等を利用して飲み口の温度制御を実現している.これまでに我々は,飲料の温度と異なる温度(±2℃)を下唇に提示することで,「のど越し」「おいしさ」「心地よさ」や,「甘味」「酸味」などの食味認知が変化することを示してきた.しかし,提示可能な温度範囲が限定されている.そこで本稿では,より広い温度範囲(4~22 ℃)を下唇に提示することで,食味認知に与える影響を調査した. 評価実験の結果,常温飲料において飲み口を14 ℃に冷却,冷却飲料においては,12~16℃に冷却すると,常温飲み口と比較して「のど越し」が良くなり,「心地よさ」「おいしさ」が増すことが明らかになった.

Information

Book title

信学技報

Volume

125

Pages

19-24

Date of issue

2025/07/02

Date of presentation

2025/07/02

Citation

上堀 まい, 伊藤 弘大, 伊藤 雄一. 下唇への広範囲温度提示による飲料の食味認知変化の調査, 信学技報, Vol.125, No.94, pp.19-24, 2025.